どうも、Wizです。
2017年の夏映画は、信じられないくらい豪華なラインナップとなりました。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』にはじまり、『銀魂』 『パワーレンジャー』『ポケモン』『怪盗グルー』『スパイダーマン:ホームカミング』『ワンダーウーマン』、そして『ベイビードライバー』!
最高の夏休みをしめくくるのにふさわしい、イカした映画でした。
このパッションがさめないうちに、感想を書いてみたいと思います。
※ネタバレがあります。未見の人は気をつけてください。
目次
あらすじ
幼いころの事故により耳鳴りを発症するも、音楽を聞くことによって抑えている主人公。そんな彼は天才的なドライバーでもあった。昔の因縁により犯罪者の逃がし屋をしている主人公だが、過去を清算することでやっと解放される。しかし腕のよさが災いし、そう簡単にぬけだすことはできないのだった。
ジャンル・基本情報
なかなか難しいです。強いていうなら「クライムアクションラブコメディ」でしょう。
一つのジャンルでは、とうてい言い表せません。この映画のおもしろさが、いかに深みのあるものかわかります。
- 公開:2017年
- 監督:エドガー・ライト(ショーン・オブ・ザ・デッド)
- 出演:アンセル・エルゴート(きっと、星のせいじゃない)、リリー・ジェームズ、ケヴィン・スペイシー(ペイ・フォワード)
思いの丈をはきだすぜ!
(IMDbより引用)
とにかく最高!
なにが最高だって?
とにかくリズムが最高だった!
テンポが映画の雰囲気となじんでいる映画は大好き。
エドガー・ライト監督はコメディーの名手だけあって、なにをすると観客がどんな反応をするかわかってやっている感じがする。
コメディーらしいテンポの良さをベースに音楽をくみこみ、ストーリーが進んでいくんだからノレないわけがない。
エドガー・ライト監督の新境地をみせてくれた映画だった。
主人公ベイビーがかっこかわいい
(予告編より引用)
なんといってもベイビー。
彼がすばらしい!
すらっとした体型に大きめのサングラス、仕事じゃ寡黙な男だけど、見てないとこじゃノリノリに体を動かしているベイビーを見て、一緒に身体を揺らしてしまうほどだった。
小学校からの帰り道、特に意味もないのにいろんなものに触り石を蹴飛ばし、覚えたばっかの歌をノリノリで歌ってたことを思い出す。
他の映画でもよく音楽に合わせて身体を動かしていることはあるけど、キレッキレのダンスだったりすることも多い。
ベイビーは違う。
ダンスじゃない。ただ感情のおもむくままに身体を動かす。気取ってないんだ。よくも悪くも音楽が彼を生かしている。
なにげに運動神経抜群だし、寡黙なくせに口説き文句は流暢だし、とにかくベイビーがかっこよかった。
ケヴィン・スペイシーという男
(予告編より引用)
彼がでてきたとき「あ、ケヴィン・スペイシーだ」って思った。
もうまごうことなきケヴィン・スペイシーで、劇中ずっとケヴィン・スペイシーだった。役の名前覚えてない!
彼はもう円熟すぎて、ケヴィン・スペイシーだったら普通にボスやっててもおかしくない感じがケヴィン・スペイシーだった。
もちろん見事な演技であることは言うまでもない。
彼の存在が、確実に作品に重みを与えている。ベイビーと彼の関係性が一つの鍵になり、語られずもほのめかされる事実がうまいことベイビーの過去を際立たせていた。うまい演出だと思う。
ケヴィン・スペイシーは雰囲気抜群で一見そうは見えないけど、実は人間味があるキャラクターを演じるのが本当にうまい。
彼が出てくるだけで、作品に重みと深みがでてくるような気がする。ハウス・オブ・カードの見過ぎかな。
耳の聞こえない里親の存在
びっくりしたのが彼の存在。
ベイビーは音楽によって耳鳴りを防いでいるけど、決しておしゃべりできないわけじゃない。
それに対抗するとばかりに、聞こえない、声で話せない、車いすのキャラが出てくるとは驚きだった。
エドガー・ライト監督の『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン』では、生真面目なお巡りとだらけたお巡りがでてくる。対象的な人物を出すことで違いを際立たせ、観客の頭のなかの幅を広げさせてくれる狙いがあるんじゃないか。
実際に彼が手話で話すのを見て、ベイビーは音のない世界も知っているんだと、耳鳴りという設定に別方面から説得力が深まった感覚があった。
それにしてもベイビーを演じたアンセルくんの手話がめちゃくちゃスムーズで驚いた。
あそこまで手を動かせるようになるには相当時間がかかると思うんだけど、さすが役者さんだ。
クールなドライブ
ドライブテクニックも下手に日現実的なものにせずにギリギリ現実的で、でも度肝を抜かれるような映像が多かった。さすがだ!
しかし終盤は逆に運転しようとしても、運転できないベイビーが描かれる。
カーアクションが大きな特徴になっているにも関わらず、終盤はカーテクニックで華麗に逃げるシーンがなかったことには驚いた。
ベイビーにとって車は逃避の手段になっている。
犯罪の逃避、自分からの逃避、両親の死からの逃避、音楽と合わせて車もベイビーを構成する大きな存在だ。
その車が逃避の手段から、彼女との夢を叶える手段に変わっていくことを表現するために、あのような終盤になったのではないか。
エドガー・ライト監督の演出がすばらしい。
物語にオチをつける
物語にしっかりとオチをつけてくれるのがうれしい。
てっきり警察に道を塞がれて自首した場面で終わるのかと思った。
けれどその後も裁判や刑務所のシーンがうつされていて、犯した罪をつぐない彼女に会えたのは最高のエンディングだった。
音楽と現実のチューニング
この作品の1番の特徴と言ってよいくらいの音楽。
登場キャラが実際にその瞬間に聞いている曲を流すってどんな感じになるんだろうとドキドキしていたけど、これが良かった!
聞きながら、この音楽を今ベイビーが聞いてるんだと思うとより映画の世界に入っていくような気持ちいい没頭感があった。
片耳イヤホンを外すと音が小さくなるようなツボにくる演出も多かったし、これは新しい手法として今後ふえるんじゃないか。
まさしくありそうでなかった使い方だ。
印象に残ったシーン
ベイビーが家の中で、音楽を聞きながらノリノリで身体を動かすシーン。
日常のちょっとした仕草を、無駄にかっこよくやってたり、ミュージカルっぽくやったりするのを見るのってすごく心躍ることなんだとはじめて自覚した。
お皿をとる。服をきる。手をにぎる。
こんななにげない毎日が、自分の気持ち次第でわくわくするものになるんだということが伝わってくるシーンだった。
自分の心を解放する時間ってすごい大切だと思う。
エドガー・ライト監督の絶妙なセンス
今作は、エドガー・ライト監督のオリジナル作品。
洋画も邦画も大作は原作ありのものばかりのなかで、成功を収めたのは本当にうれしい。
そんな監督の代表作には、『ショーン・オブ・ザ・デッド』と『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン』がある。
どちらもコメディー映画だが、それだけではなくいろんな映画の要素を混ぜ合わせて一つのコメディとしてしあげている。
彼こそ「映画界の錬金術師」ともいうべき存在じゃないだろうか。
魅力的なわくわくする素材を、お互いが邪魔しないように錬成していくセンスは脱帽するばかり。今回のような大作になっても、そのセンスにいささかの陰りもなく、今から次回作の内容が気になるくらいだ。
『ベイビードライバー』を観て、興味をもった人はぜひ他の作品も観てみしい!
まとめ
『ベイビードライバー』最高でした。
エドガー・ライト監督の今後にますます目が離せません!