映画『アデライン 100年目の恋』を観た。とてもおもしろかったので映画感想文を兼ねたレビューを書いてみる。
※作品の根幹に関わるようなネタバレはありませんが、あらすじ程度までは書いてあるのでご注意ください。
目次
どんな映画?
ジャンル
ジャンルはラブヒューマンファンタスティックドラマ。それだけ一つのジャンルで表せない作品。
あらすじ
若い頃の交通事故により、身体年齢が29歳で止まってしまった女性が主人公。100年以上の時を過ごしてきた彼女は他人から怪しまれないようにするため、10年ごとに名前も住む場所も転々と変えながら生きてきた。
もうすぐ10年となり、引っ越しの準備をしているとき、彼女はパーティーで一人の男性と出会う。果敢にアタックしてくる彼だが、自らの秘密を理由に拒絶してしまう。しかし話はこれでおわらず…といったストーリー。
映画の感想
とても切なく、幸せな気持ちになる映画だ。王道のストーリーに、少しひねりの入った設定がうまくマッチして、感情をゆさぶってくるのである。自分もこんな恋をしてみたいという想いが自然とふくれあがってくるような感覚だった。
設定が、この映画を特別なものにしている。「29歳のまま、100年以上過ごしてきた彼女の恋」と聞くだけで、わくわくしてくる。このあらすじを読むだけで、
「彼女の精神年齢は、いくつなんだろう?」
「彼女は、どんな葛藤を抱えているんだろう?」
「なぜ100年以上も、生きているんだろう?」
とたくさんの疑問がわいてきた。
作品はこれらの疑問に、見事に応えてくれた。あえてSFの要素をつきつめることはせずに、ラブストーリーとして不老の特性をいかした展開がよかったと思う。「不老」といってもいろんな視点からとらえることができるので、ともすればラブストーリーではなく、小難しい哲学ドラマになっていたかもしれない。今作くらいの描き方が一番しっくり味わうことができた。
そしてなにより、主演のブレイク・ライヴリーの美しさ。はじめは100年生きている女性の雰囲気がわからなかったが、微妙なしわのある顔と、おちついた雰囲気にあっという間に作品にのめり込んでいけた。ミステリアスで、品のある彼女でなければアデラインは完成しなかっただろう。
もうひとつは、恋人同士の会話のおしゃれさ。洋画はどうしてこう、会話がおしゃれに感じるのだろう。静かながらも、豊かな知性がみえてくるようなやりとりに魅力されてしまった。あんなセリフがぽんぽんでてくるような存在は、実在するのか疑わしいくらい。けれどもそれがとても魅力的に感じる。
ファンタスティックなラブストーリーが好きな人は、ぜひ観てみてはどうだろう。王道ながら夢中になる物語である。
印象に残ったシーン
印象に残ったのは、彼女が不老となるきっかけとなった交通事故のシーン。道路から池になるといきなり無音になり、客観視された説明がたんたんと続く。不気味で体が寒くなった。
もう一つは彼女と彼女の犬のシーン。100年間ずっとかたわらに犬のすがたがおり、犬とふれあうシーンはほほえましさを感じるほどだった。
劇中に見るファッション
この作品の見どころの一つは、ファッションだ。29歳のまま、100年生きているからにはいろんな年代の服装がでてくる。
主演のブレイク・ライヴリーはインタビューで「アデラインが大人になった1920年代の女性は、今とは考えられないくらいおしとやかだったの。買い物に行くにも手袋と帽子を身に着けた、きちんとしたファッションだったそうよ。レディであることを基本にしつつ、時代によって言葉遣いや態度、振舞い方を変えていったわ。話し方については発音コーチの元で特訓したの」と答えている。(http://www.celesy.com/news/detail/1918/より引用)
年代によって変化するファッションも、この映画を魅力的にしている。ぜひ注目してみてもらいたい。昔のファッションも、変わらず着こなしているブレイク・ライヴリーがすごい。
ブレイク・ライヴリー
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ミステリアスで知性あふれるアデラインを演じたブレイク・ライヴリー。彼女のことを少し調べてみた。
最新作は「ロスト・バケーション」。サメと奮闘するサバイバル映画で、彼女の肉体美が美しい。こちらもおすすめ。
驚いたのは、彼女が第一児を出産したあとに撮られたのが本作であること。映画では実際に娘もいて、おちついた雰囲気がでていたが、出産を経験したことによりさらに説得力のある演技になったのかもしれない。
また夫は、『グリーン・ランタン』で共演したライアン・レイノルズ。それ以前にもケリー・ブラッツ、レオナルド・ディカプリオなどとも交際していたそうで、恋愛経験はたくさんありそう。これも本作の「アデレイン」にいかされているのだろう。
おわりに
ブレイク・ライヴリーがはまりすぎていて、映画よりそちらのほうに夢中になってしまったような気がする。ハリソン・フォードも出演していて、ぱっと見すぐにわからないくらいの演技なので興味のある人はぜひ観てみてはどうだろうか。